映画『Flow』公式サイト | 2025年3月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

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文部科学省選定作品

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“アニメーションの未来の壮大で息を呑むような幕開け” -ギレルモ・デルトロ 『バンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』監督

大洪水になった世界に迷い込んだ猫、
それは想像を超えた冒険の始まりだったー。

INTRODUCTION

ラトビア出身のクリエイター、ギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目となる『Flow』。2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でプレミア上映を飾り、同年のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞、観客賞含む4冠を受賞。2025年ゴールデングローブ賞では『インサイド・ヘッド2』『野生の島のロズ』『モアナと伝説の海2』ら錚々たるビッグタイトルをおさえてアニメーション映画賞を受賞。大規模なスタジオ作品では数百人が携わり、予算が数百億円とも言われるアニメーション制作において、全編がオープンソースソフトウェアBlenderで制作され、スタッフは50人以下、制作費は350万ユーロ(約5.5億円)という、アニメーション制作の常識を覆す極めてインディペンデントな体制と革新性も、驚きと賞賛を以て受け止められている。そして2025年アカデミー賞®では、ハリウッドメジャー大作を抑え、長編アニメーション賞受賞の快挙を果たし、アニメーション映画の歴史を変えた作品となった。
本編で描かれるのは、洪水に呑まれつつある世界を舞台に、時には運命に抗い、時には流され漂う一匹の猫と、道中を共にするさまざまな動物たちを見つめる、圧巻の映像体験。ジルバロディス監督が「この作品は、とても個人的なストーリーでもあります。かつての作品では全て1人で手掛けていた私が、本作では主人公の猫のように、チームを組み協力すること、仲間を信頼すること、違いを乗り越えることを学びました」と語るとおり、主人公の猫はもちろん、共に旅をする動物たちが各々の魅力を全開に、成長しながら旅をしていく様にも注目だ。

STORY

世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし、彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?

STAFF

ギンツ・ジルバロディス(監督・脚本・音楽)
Gints Zilbalodis

1994年、ラトビア生まれ。映像作家、アニメーター。3年半の歳月を費やして一人で作り上げた長編デビュー作『Away』が、2019年のアヌシ―国際アニメーション映画祭コントルシャン賞を受賞。幼い頃から映画製作興味を持ち、10代の頃から短編映画の制作に取り組む。『Away』の以前にも、手書きアニメーション、3Dアニメーション、実写など、様々な表現形式で7本の短編映画を手掛けてきた。長編2作目となる『Flow』は、2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてワールドプレミア上映後、同年のアヌシ―国際アニメーション映画祭で審査員賞、観客賞含む4冠を受賞。2025年のアカデミー賞国際長編映画祭ラトビア代表に選出、各国の映画祭で上映され、高い評価を集めている。

COMMENT(順不同)

物言わぬ動物たちが危機に瀕して奮闘するスリリングな逞しい姿に、命のきらめきと尊厳を見る。
その瞳に込められた音なき言葉を、息を殺して聴け。

細田守(アニメーション映画監督)

映画は、観る人を乗せる小舟だ。
猫に化けたギンツ監督の視点で、どこか人間社会を見ているような没入感がある。
それが、愛らしい動物達の姿で描かれるから、人間は未熟でか弱く健気で、そして、大きな流れの中で色鮮やかに生かされている事に気づかされるのだ。

押山清高(アニメーション監督)

多分クリエイターなら皆
ずっとこういう作品を作りたかったと思います。
少なくとも僕は思っていました。
言葉が少なく、でもエモーショナルな物語はちゃんとあるものに憧れがありましたが
『Flow』はその100点みたいな作品でした。
見ている途中ずっとこれを作りたかったという気持ちと、猫達に早くゴハンを食べさせてあげて!と
夢中で見ていました。

藤本タツキ(漫画家)

この子たちは、なんて切ない声で鳴くのだろう。
彼らは台詞を持たないが、全力で叫び、心から怒り、ときに沈黙し、
ふとした仕草は、この世の理(ことわり)を、私たちに饒舌に語ってくれる。
観れば、このアニメーション技術を抱きしめたくなる!

森田宏幸(『猫の恩返し』監督)

孤独、孤立、分断、差別、飢餓、天災、我々人間界の様々な問題が、人間の居なくなった世界の、動物やあらゆる生命体のあり方がその答えをくれる。
言語や国籍を超え、全ての人類に捧げられたギンツ監督からの美しく愛らしくも鋭利なラブレター。

斎藤工(俳優/映画監督)

これがアニメとCG映画の流れ(FLOW)が辿り着く、ひとつの到達点だ。動物たちは擬人化されず、
台詞もない。ところが、芸術的で、哲学的で、どこまでも社会派なのだ。ただの客寄せ動物映画と侮ってはいけない。本作は、21世紀に流され、漂流する我々人類のFlowchart(フローチャート)そのものだ。

小島秀夫(ゲームクリエイター)

成猫になるまえの少し小柄な猫。彼の目に映る雄大な自然。そして天災。
美しい不思議なこの映画は勧善懲悪でもなく
共に方舟に乗って鑑賞している私をうっとりとした世界に導いてくれました。

ヒグチユウコ(画家)

美しく描き出されたポストアポカリプスな世界を旅するネコチャンたち……をひたすらカメラで追い続ける85分間。ただそれだけなのに、最後の最後まで目が離せない!
映画『Flow』は、想像により描き出された世界やキャラクターが確かにそこに存在するという根源的な楽しさに満ちた快作です。

吉浦康裕(アニメーション監督)

なんて大きい世界なんだろう。
猫の目を通せばウサギだって大きいくらいなのに、こんなに巨大で美しい世界が変貌を止めないことが恐ろしい。
崩れゆく世界で人間なんかじゃ到底辿り着けないようなところまで連れ去られる。猫はそんなつもりはないよと言うかもしれないけど。

久野遥子(アニメーション作家・映画監督)

息を呑む美麗な水の表現に畏れを抱き、やがて波のように押し寄せてくる感情に圧倒される。言葉がないからこそ伝わるものがあり、私たちはそれを掬い取らなければならない。日常の中で忘れかけていた「生命」を感じる映画です。

浅野いにお(漫画家)

私たちも、予期せぬ冒険の最中にいるのかもしれません。
正しい方角もわからず、けれど常にどこかへと向かっている。
そうしてやがて、自分が何者かを知っていきます。
これは猫の物語ですが、大いなる流れの中にいる人間として、創作者として、
この作品がくれた世界を大切にしたいと思います。

loundraw(イラストレーター/アニメーション監督)

映像の美しさ、動物たちのリアルな動きの再現にはもちろん、主人公の猫や他の動物たちの鳴き声、仕草、表情だけで個性や感情がリアルに伝わってくる、その表現力に驚かされました。恐怖や物欲等を抱えた主人公達が成長する姿を言葉を一切使わず伝えられる、素晴らしい作品です。

アルトゥル(日本推しラトビア人)

都合のよい擬人化を極限まで廃し、それでいて愛らしくユーモラスに、生命みなぎる動物たちの冒険を活写する。気候危機や絶滅といった恐るべき「 現実リアル」が迫る今、本作のように現実の動物や自然への想像力を飛躍させる、新時代のファンタジーアニメが必要だ。

ぬまがさワタリ(いきものクリエイター)

絵画のようで可愛らしい。
アニメなのに本物の動きで、手に取るように感情が分かる摩訶不思議。
観たら間違いなくもう一度体験したくなる世界への冒険だった。
なんなのだろうこのトキメキは。
言うなれば、アニメの枠からはみ出る芸術体験に、ずっと夢中という感覚かもしれない。

伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)